病態
バソプレシン分泌過剰による症候群(ただし,一部ではバソプレシンの分泌異常はあるが高値ではない)
[参考]
間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂),2019
異常値
・血清Na 低値(135mEq/L未満.120mEq/L以下では症状が出やすい)
・血漿バソプレシン 血清Naが135mEq/L未満で血漿バソプレシン値が測定感度以上.
・血漿浸透圧 280mOsm/kgH2O未満の低値
・尿浸透圧 100mOsm/kgH2O以上
・尿中Na 正常もしくは低Na血症としては高値(20mEq/L以上)
・血清クレアチニン 1.2mg/dL以下
・血清コルチゾール(早朝空腹時) 6μg/dL以上
・血漿レニン活性 5ng/mL/時以下が多い
・血清尿酸値 5mg/dL以下が多い
経過観察のための検査項目とその測定頻度
●血清Na,Cl [急性期]低Na血症の重症度判定のため週2回 [慢性期]治療効果判定および副作用モニターのため月1回
●血漿浸透圧 [急性期]重症度判定のため週2回 [慢性期]治療効果判定および副作用モニターのため月1回
●血漿バソプレシン 血清Na値,血漿浸透圧値に比して,バソプレシンが高値を示す症例では原因検索と活動度判定のために測定する [急性期]原因検索のため月2回 [慢性期]活動度判定のため1カ月ごと
診断・経過観察上のポイント
①低Na血症,低血漿浸透圧.②脱水症状なし.③尿浸透圧100mOsm/kgH2O以上,血漿浸透圧280mOsm/kgH2O未満.④尿中Na排泄20mEq/L以上.⑤副腎機能,甲状腺機能は正常で高度の腎機能障害がない.⑥特に利尿薬などの使用による腎からのNa喪失との鑑別が重要.⑦病態の理解上はバソプレシンの過剰と考えてよいが,実際にはバソプレシンの高値を伴うものから,バソプレシン分泌のセットポイント異常,バソプレシン低値などバソプレシンは