診療支援
検査

細菌性食中毒
古川 恵一
(国保旭中央病院・感染症センター長)

病態

・2021年度の日本での細菌性食中毒の原因菌別の件数(%)と人数,特徴と治療をまとめる.

 ①カンピロバクターCampylobacter jejuni/coli(67.0%,764人)

 ・豚,牛,鳥などの肉,ミルク,汚染された水.[潜伏期]2~5日.[症状]下痢,腹痛,悪心,嘔吐,発熱,ときに血便,ときに虫垂炎と似た症状を起こす.なお,ギランバレー症候群の30%にCampylobacter jejuniの先行感染がみられる.[治療]症状が強い場合,マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン)内服3日間.

 ②ウェルシュ菌Clostridium perfringens(13.0%,1,916人)

 ・人や動物の大腸内常在菌で土壌にも存在.いったん加熱調理された食品中に熱抵抗性の下痢原性エンテロトキシンをもつウェルシュ菌の芽胞が生存すると,冷却途中で増殖し,エンテロトキシンが下痢を起こす.[潜伏期]

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