診療支援
検査

全身性エリテマトーデス(SLE)
舟久保 ゆう
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 自己免疫機序による全身性慢性炎症性疾患.抗核抗体をはじめとして多彩な自己抗体の出現を特徴とする.皮膚,腎,中枢神経系,また造血器系など,臓器障害は多岐にわたる.臓器障害は,自己抗体,免疫複合体の沈着(Ⅲ型過敏反応),血管炎などによると考えられている


[参考]

 全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019


異常値

・白血球 白血球減少,リンパ球減少

・赤沈 亢進(活動性に応じて.しかし,CRPは上昇しないことが多い)

・抗核抗体 陽性

・血清補体価 低値(活動性に応じて)

・免疫複合体 高値

・抗ds-DNA抗体 増加.疾患活動性を反映する

・尿蛋白 持続性蛋白尿や細胞性円柱を認めたら,腎障害(ループス腎炎)を疑う

・梅毒血清反応 偽陽性のことあり(抗リン脂質抗体の存在を疑う)

・血小板 減少することあり

・赤血球(Hb,Ht) 減少することあり

・抗Sm抗体 陽性のことあり.疾患特異性が高い(活動性とは無関係)

・抗リン脂質抗体 陽性のことあり(APTT延長,PT正常の場合ループスアンチコアグラントの存在を疑う)

・血清クレアチニン(Cr) 上昇することあり


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●赤沈 活動性判定,治療効果判定のために測定する [急性期]1~2週ごと [慢性期]1~3カ月ごと

●血清補体価 重症度判定,活動性判定,治療効果判定のために測定する [急性期]1~2週ごと [慢性期]1~2カ月ごと

●抗ds-DNA抗体 重症度判定,活動性判定,治療効果判定のために測定する [急性期]2週ごと [慢性期]1~3カ月ごと

●免疫複合体 疾患活動性を反映する [急性期]2週ごと [慢性期]1~3カ月ごと

●尿蛋白 重症度判定,活動性判定,治療効果判定のために測定する.尿蛋白は定性だけではなく,定量も必要.特に蓄尿しづらい外来では,尿中TP/Cr比を検査すると効果的に尿蛋白の経過が追える.同時に尿潜血

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