診療支援
検査

全身性強皮症(強皮症,SSc)
舟久保 ゆう
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 自己免疫機序によると考えられる皮膚の硬化,肥厚を特徴とし,肺,消化管などを中心とした多臓器に線維化をきたす慢性炎症性疾患.発症前からレイノー(Raynaud)現象を認めることもあり,進行すると不可逆的な末梢循環障害による指・趾尖壊死をきたす.関節炎や腎,心などが障害されることもある


[参考]

 全身性強皮症・限局性強皮症・好酸球性筋膜炎・硬化性萎縮性苔癬の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン,2017


異常値

・抗核抗体 陽性

・抗Scl-70抗体 陽性のことあり(びまん性強皮症型に多い)

・抗セントロメア抗体 陽性のことあり(限局性強皮症型,CREST症候群に多い)

・抗RNAポリメラーゼⅢ抗体 陽性のことあり(びまん性強皮症型,腎クリーゼに多い)

・抗U1-RNP抗体 陽性のことあり


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●抗核抗体,抗Scl-70抗体,抗セントロメア抗体,抗RNAポリメラーゼⅢ抗体 活動性の指標とはならないが,診断に有用 [急性期]主に診断のために1回 [慢性期]不要

●動脈血ガス分析 肺高血圧や間質性肺炎をきたすと,低酸素血症を認める

●KL-6,SP-D 間質性肺炎スクリーニングおよび活動性評価のために測定する [急性期]2週~1カ月ごと [慢性期]3~6カ月ごと


診断・経過観察上のポイント

①強皮症腎クリーゼ(急速進行性腎障害)を起こすことがあり,突然の高血圧,腎機能の急速悪化などから疑えば,血漿レニン活性を測定し高値なら至急ACE阻害薬などによる治療を行う.治療時期を逸すると致命的となることがある.ACE阻害薬に反応しない場合には,腎不全に陥ることもある.抗RNAポリメラーゼⅢ抗体陽性者に多く,副腎皮質ステロイド中等量以上の投与により惹起されることが知られている.血圧正常で腎クリーゼを示す場合には,p-ANCA陽性の半月体形成性糸球体腎炎のこともあり,腎生検にて

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