診療支援
検査

花粉症
秋山 雄次
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

病態

 花粉をアレルゲンとするⅠ型アレルギー性疾患で,肥満細胞や好塩基球が活性化される結果ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出され,鼻炎や結膜炎が発症する.症状は花粉飛散時期に集中する.わが国で最も多い花粉症はスギ花粉症である.主症状は季節性のあるくしゃみ,水様性鼻汁,鼻閉,眼脂,眼瞼の瘙痒感などである.近年,重症症例も散見され,咳,喘鳴などの呼吸器症状や皮膚瘙痒感,湿疹,紅斑などの皮膚症状を併発することもある.花粉症患者が花粉と交差する抗原を含む食物を食べた際に,口腔粘膜と,その周囲組織に腫脹,瘙痒,じん麻疹などを生ずることがある(口腔アレルギー症候群,花粉・食物アレルギー症候群)


[参考]

 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版(改訂第9版)


異常値

・抗原特異的IgE 陽性

・白血球 好酸球増加を認めることあり

・血清IgE 増加することあり

・鼻汁好酸球 増加.季節外ではほとんど陰性化する.感冒や過敏症との鑑別に有用.好酸球性副鼻腔炎でも陽性となるが,その場合は鼻閉がより強く,発作性のくしゃみ・水様性鼻汁はみられないか,あっても軽度である

・プリックテスト 陽性

・スクラッチテスト 陽性

・皮内テスト 陽性

・鼻粘膜抗原誘発試験 多種類の抗原に対する特異的IgEが陽性の場合に,鼻炎を引き起こす花粉を確認するために施行する


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●血清IgE 診断,活動性判定,治療効果判定のために測定する.喘息,アトピー性皮膚炎に比較し,陽性率が低い.経過を追跡する必要性は低い


診断・経過観察上のポイント

①花粉の飛散時期に症状が出現していれば疑われる.②問診,視診が重要である.アレルギー歴や家族歴も参考になる.③同じ季節に症状が繰り返されれば可能性が高いので,その時期に飛散している花粉に対する特異的IgE抗体を測定する.④花粉症を有しない場

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