診療支援
検査

不妊症
綾部 琢哉
(帝京平成大学教授)

病態

 妊娠を望む生殖年齢のカップルが避妊せずに通常の性交を継続的に一定期間行っても妊娠しない状態.期間は1年が一般的だが,高齢カップルでは妊娠しにくいため早目に判断して対応を始める.


[参考]

 生殖医療の必修知識2020

 生殖医療ガイドライン,2021


経過観察のための検査項目とその測定頻度

 排卵・卵子の因子,子宮・卵管の因子,精子の因子の3つに分けて整理する.

●排卵・卵子の因子

・ホルモン検査 月経周期5日目以内の変動が少ない時期に採血しLH(luteinizing hormone),FSH(follicle stimulating hormone),PRL(prolactin),FT4(free thyroxine),TSH(thyroid stimulating hormone)を測定する

・卵胞発育と排卵 超音波検査により卵胞径と子宮内膜の厚さを計測し,卵胞の縮小・消失により排卵を確認する(超音波検査は1周期に3回まで保険診療可)

・LHサージ 血液以外に尿検査キットでも半定量により,排卵時期を推定する

・黄体機能検査 黄体期の持続日数とともに,中期の採血でエストラジオール,プロゲステロンを測定する.周期ごとに黄体が異なるので機能も異なる

・抗Müller管ホルモン(anti-Müllerian hormone;AMH) 前胞状卵胞~胞状卵胞から血中に分泌されるので,卵巣に残された原始卵胞数(卵巣予備能)の直接的な指標ではないがおおよその目安とされる(その場合は保険未収載).ゴナドトロピン製剤による調節卵巣刺激でその周期での採卵数を予測し薬剤量を調節する目的で測定する場合は,6カ月に1回,保険診療可

・前胞状卵胞数(antral follicle count;AFC) 月経周期3日目に超音波検査で左右卵巣内の小卵胞(径2~10mm)数を数え,卵巣予備能を推測する

●子宮・卵管因子

・子

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