診療支援
検査

小児の意識障害・痙攣
大西 宏明
(杏林大学医学部教授・臨床検査医学講座)

病態

 乳幼児の痙攣は,頻度では熱性痙攣が大部分を占めるが,胃腸炎に伴うもの,良性乳児・新生児痙攣もしばしばみられる.無熱性の痙攣では各種てんかん性疾患を考慮する.発熱があり,意識障害が遷延する場合は脳炎や髄膜炎,急性脳症(非炎症性脳浮腫による機能障害)の可能性がある.痙攣を伴わない意識障害は,痙攣疾患に比べ頻度は低いがその原因は多岐にわたる


[参考]

 熱性けいれん診療ガイドライン2015

 小児急性脳症診療ガイドライン2016


異常値

・血液ガス,乳酸 痙攣の持続に応じ,アシドーシスが進行し,乳酸が上昇する

・Na, K, Ca, 血糖,アンモニアなど 意識障害の原因・程度に応じて異常値を示す

・AST, ALT, LD 急性脳症で軽度~中等度の上昇を認める

・白血球, CRP 細菌性髄膜炎で増加する

・髄液検査 髄膜炎では原因に応じて細胞数増加,糖の低下,蛋白の上昇などの異常を認める.脳炎ではこれらの異常は軽度な場合が多いが,原因に応じウイルス抗原・核酸が検出される.急性脳症では蛋白の上昇を認める

・脳波 各種てんかん,脳炎,急性脳症で異常を示す

・頭部CT/MRI 頭蓋内の病変(出血,腫瘍など)が原因の場合に異常を認める.急性脳症では脳浮腫をきたす


経過観察のための検査項目とその測定頻度

・血液ガス,Na, K, Ca, 血糖,アンモニア 意識障害が続く間は,1日1回

・白血球, CRP 細菌性髄膜炎では週3~4回

・髄液検査 髄膜炎では,週1~2回


診断・経過観察上のポイント

①熱性痙攣の初回で,単純型の場合(持続時間15分未満,左右対称性,一度の発熱で1回の痙攣)には検査の必要はないとされる.②複雑型熱性痙攣では,脳波(発症7日目以降が推奨される)や,必要に応じて血液・画像検査を実施する.③無熱性の痙攣の場合,乳幼児で明らかに下痢症に伴うものの場合は検査せずに経過を観察することも可能だが,明確でな

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