診療支援
検査

サルコペニア/ロコモティブシンドローム/フレイル
長谷川 浩
(杏林大学医学部教授・総合医療学)

病態

 ADLの低下の原因として筋肉量の減少に注目したものがサルコペニア,運動器の障害に伴い運動・移動機能の低下に注目したものがロコモティブシンドローム,これらを包括しさらに精神心理的問題(認知機能低下,うつ状態など),社会的な問題も含めたものがフレイルである.いずれも加齢に伴う現象である


[参考]

 サルコペニア診断基準,2019

 ロコモティブシンドローム臨床判断値,2015

 フレイル診療ガイド2018年版


異常値

 ①サルコペニア:症例発見のきっかけとして,体重減少,身体機能低下を示す患者で,下腿周囲長(カットオフ値:男性34cm未満,女性33cm未満)や質問票であるSARC-F4点以上,この2つを組み合わせたSARC-Calf11点以上のいずれかでスクリーニングする.さらに握力低下(男性28kg未満,女性18kg未満),または,身体機能の測定として5回椅子立ち上がりテストで12秒以上の者を疑い例とする.

 握力低下に加え6m歩行で1m/秒未満で,5回椅子立ち上がりテストで12秒以上または,身体機能テストSPPBで9点以下,骨格筋量が

・BIA法:男性7.0kg/m2未満,女性5.7kg/m2未満

・DXA法:男性7.0kg/m2未満,女性5.4kg/m2未満

 のなかで,低骨格筋量+低筋力をサルコペニアとし,低身体機能が加わると重症サルコペニアと診断される.

 ②ロコモティブシンドローム:(1)立ち上がりテスト,(2)2ステップテスト,(3)ロコモ25問診表の3つのテストのうち1つでもあてはまる場合に診断される.いずれも年齢での判定値がある.Webロコモonlineで判定できる.

 ③フレイル:(1)表現型モデルに基づくJ-CHS基準にて1~2項目該当=プレフレイル,3項目以上=フレイル.(2)簡易評価(FRAIL scale,簡易フレイル・インデックス)にて1~2項目該当=プレフレイル,

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