診療支援
治療

心肺停止と二次救命処置(ICLS)
cardiopulmonary arrest and advanced life support
山崎元靖
(済生会横浜市東部病院・救命救急センター医長)

A.ER診療のポイント

1迅速な処置の必要性

●心肺停止患者を救命するためには,いわゆる「救命の連鎖(chain of survival)」と呼ばれる,①心停止の予防,②早期認識と通報〔応援や自動体外式除細動器(automated external defibrillator:AED)などの必要資機材の手配〕,③一次救命処置〔cardio-pulmonary resuscitation:CPR,automated external defibrillator:AED〕,④二次救命処置(電気的除細動,薬剤などを使用した高度な治療),の4つの要素が迅速に行われることが必要である.

●たとえば心肺停止の主な原因である心室細動(ventricular fibrillation:VF)や無脈性心室頻拍(無脈性pulseless ventricular tachycardia:VT)の場合,心停止から除細動までの時間が1分間延びるごとに,生存退院率が7~10%ずつ低下すると推測されており,院外発生心肺停止例はもちろんのこと,院内発生心肺停止例についても救命のために残されている時間はきわめて短い.

●ERは病院内で最も心肺停止患者に接する機会のある部門であり,様々な状況や原因で発生する心肺停止患者に即応できるように常に備えている必要がある.

2一次救命処置(basic life support:BLS)から二次救命処置(advanced life support:ALS)へ

●BLSとは,前述の救命の連鎖のうち,はじめの3つの要素を包括する概念である.感染防護具やAEDなどを除いて特殊な装置は必要なく,迅速に開始した後に,薬剤や機器などを用いた高度な医療であるALSに引き継ぐが,患者の救命や社会復帰におけるBLSの重要性はきわめて高い.

●従来も早期除細動は最重要視されてきたが,2010年に国際蘇生連

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