A.ER診療のポイント
救急診療の基本である気道が障害されると,4分で脳の不可逆的変化を生じてしまい生命を脅かされるので,最も緊急を要する病態である.
●完全上気道閉塞をきたしている場合は,気道emergencyであり,応援を呼んでいる暇はない.すぐに気道を確保しなければ命を失う.
●上気道異物であれば,異物の除去が必須であるが,短時間に気道開通がかなわなければ外科的気道確保(輪状甲状間膜穿刺,輪状甲状間膜切開)を要する.気管切開は時間を要するため,この場合には禁忌である.
●不完全閉塞であれば,気管挿管による気道確保を行う.緊急気道確保の方法は様々な方法があり,自分が最も得意とする方法を数手持っておく必要がある.
B.最初の処置
吸気時の喘鳴(stridor)は上気道閉塞のサインである.窒息の場合は手を喉にあてがうチョークサイン(図1図)を呈する.高度ないびきも舌根沈下による上気道閉塞を疑う.上