A.ER診療のポイント
●バイタルサインを確認し,気道(A)・呼吸(B)・循環(C)に異常がある場合には迅速な蘇生措置を行う.
●約90%は鼻中隔前方いわゆるキーゼルバッハ部位からの出血で,両鼻翼の圧迫およびガーゼパッキングにより止血可能である.
●後方からの出血は止血困難な場合が少なくない.止血困難な場合,速やかに専門医へのコンサルテーションを行う.
B.最初の処置
①気道(A)・呼吸(B)・循環(C)・意識(D)・体温(E)を短時間で評価し,緊急度を第一印象として把握する.いずれかに異常を認めた場合,緊急度が高いと判断する.
②気道閉塞の疑いがある場合,直ちに用手的気道確保を行う.
③出血が続いている場合,両鼻翼を母指と示指でつまみ,圧迫止血する.可能であれば患者自身につまんでもらう.
④血液誤嚥予防のため坐位とする.坐位が取れない場合は側臥位とする.
⑤出血量推定のため,血液は飲み込まず膿盆などに吐出するよう指示する.
C.病態の把握・診断の進め方
1バイタルサインの確認と蘇生処置
1気道 用手的気道確保,口腔内吸引後も気道確保が困難な場合,気管挿管など確実な気道確保を考慮する.
2呼吸
①呼吸状態を観察するとともに,呼吸数を記録する.
②緊急度が高いと判断した場合,頻呼吸や低酸素血症の疑いがある場合,SpO2をモニタリングし,血液ガス分析や酸素投与を検討する.
3循環
①血圧・脈拍数を測定する.
②以下の場合,静脈路を確保し生理食塩液薬または細胞外液の急速輸液を開始するとともに,血算・凝固・血液型検査をオーダーし,心電図をモニタリングする.
・緊急度が高いと判断した場合
・ショックや大量出血が疑われる場合
・頻脈・低血圧・四肢末梢の冷感を認める場合
③出血が続いている場合,圧迫止血を継続する.準備ができ次第,局所処置を開始する.
④1,000~2,000mLの初期輸液でバイタルサインが安定しない場合,輸血
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