診療支援
治療

一過性脳虚血発作
transient ischemic attack(TIA)
永山正雄
(国際医療福祉大学教授・熱海病院神経内科)

A.疾患・病態の概要

●脳梗塞の前兆である一過性脳虚血発作(TIA)の定義は,欧米では2002年以降見直され,発作持続時間よりも画像上,急性期脳梗塞所見がないという脳組織の状態を重視した定義に公式に変わった.

●最新の定義は米国心臓病学会(AHA)/米国脳卒中学会(ASA)共同声明(2009)による「脳,脊髄,あるいは網膜の局所性虚血による一過性の神経機能障害で急性期脳梗塞を伴わないもの」であり,神経症候の持続時間を全く問わないものとなった.

●わが国のTIAの定義は,1990年の厚生省研究班の診断基準「神経症状持続時間が24時間以内で,画像上脳梗塞病巣を認めない」が最終である.

●TIAを脳梗塞やRIND(reversible ischemic neurological deficit)と区別するために1960年代半ばに規定された24時間という発作持続時間は過去のものであり,TIAと急性期脳梗塞

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