A.疾患・病態の概念
●かぜ症候群は急性の上気道における炎症性疾患と定義されている.病因はウイルスが大部分を占めるが非感染性因子として寒冷,化学物質吸入,アレルギーによるものがある.
●かぜ症候群は,一般的には軽症で,自然治癒傾向が強い予後良好な疾患であるため,臨床医はこの疾患を軽視しがちである.しかし,有病率から考えると非常に頻度の高いこの疾患は,「風邪は万病のもと」という言葉に象徴されるように,そのマネージメントが不十分であると合併症による重症化をひき起こしたり,またかぜ症状を訴える感冒症候群以外の疾患を見逃すことにつながり,決して軽視することのできない疾患である.
●かぜ症状を訴えるかぜ以外の疾患のなかには,最近報告されている激症型溶連菌感染症など生命も脅かす疾患のあることを忘れてはならない.またある報告では,かぜ症状を訴えて来院した患者の約50%が他疾患によるものであったという.大切なの