A.疾患・病態の概要
●イレウスとは腸管が内腔または腸管外の原因により,内腔の狭窄や閉塞をきたした状態で,腸閉塞ともいわれる.イレウスには種々の分類法がある1,2).腸管虚血合併率の高さにより,機械的,機能的イレウスを分類し,代表的疾患を表1図にまとめた.
●絞扼性イレウスは,腸管内腔の閉塞に続く種々の病態と腸管への血流障害による腸管虚血が特徴である.病態は急激に増悪し,腹膜炎,敗血症(sepsis)/敗血症性ショック(septic shock),DIC(播種性血管内凝固症候群),多臓器不全へと容易に進行する.そのため,絞扼性イレウスはもちろん,絞扼へ進行しつつある状態を早期,的確に診断し手術治療を実施することが重要であり,手術時期の遅延は治療成績不良に直結する.しかし,絞扼を示す明確な指標は未確立である.
●イレウスの原因は多岐にわたるが,原因によらず多くの症例で絞扼性イレウスへ進行する可能性