A.疾患・病態の概要
●尿路結石は腎尿管結石といった上部尿路結石と膀胱結石,尿道結石といった下部尿路結石に大別される.上部尿路結石はまず腎乳頭にて結石成分の結晶化,つまり結石の核となるものが形成され,腎盂腎杯において,その周囲にさらに結石を構成する成分が結晶化して沈着し増大する.結晶化した無機成分の間は細胞外マトリックスであるオステオポンチンに代表される有機物質によって石垣の漆喰のように埋められる.水腎症といった尿流停滞があれば結石の成長は促進される.腎で増大した結石が尿管に落下したものが尿管結石である.尿管の閉塞の度合いによって様々な程度の水腎症が出現する.
●膀胱結石は上部尿路結石が膀胱内に落下したまま体外に排石されずにいるものと,膀胱内で形成された結石がある.後者では前立腺肥大症などによる多量の残尿の存在が原因となっていることが多い.
B.最初の処置
①尿路結石以外の,より重篤な急性腹症を鑑別することが極めて重要である.尿路結石は痛みは強いものの,これが生死にかかわる病態である場合は例外を除いて少ない.生死にかかわる可能性があるのは,重篤な尿路感染症を併発して敗血症性ショックを起こしている場合と,物理的・機能的単腎症例に発生した尿管結石によって水腎症をきたし,尿毒症を起こす場合である.
②救急室における尿路結石患者は強い痛みを訴えることが多い.病歴,身体所見から尿路結石の可能性が高い場合には種々の検査を施行する前に,まず鎮痛処置を行うことも必要である.
C.病態の把握・診断の進め方
1確定診断に近づくための観察・検査
1腹部所見 背部痛,側腹痛,下腹痛を示す.筋性防御はないことを確認する.急速に腎盂内圧が上昇した際に生じる腎部叩打痛(costovertebral angle tenderness)は特徴的な所見である.
2排尿症状 尿管膀胱吻合部付近に尿管結石が下降すると,頻尿,残尿感
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