A.疾患・病態の概要
●尿路感染症は通常は尿路,つまり腎・尿管・膀胱・尿道に発生する細菌感染症をいう.やや広義にとらえれば尿路における非細菌性,例えばウイルス性,真菌性,結核菌の感染症や精巣,精巣上体,精管,前立腺といった性器に生じる感染症を含んで考えてよい.
●大まかにいえば尿路性器感染症の対応は,発熱しているか否か,また尿路性器に基礎疾患が存在するか否かで決定していけばよいであろう.
B.最初の処置
①発熱があり感染症を疑う患者が来院した場合には感染源の検索を行う.一般に尿路は呼吸器と並んで感染症の原因となりやすい.まず尿路性器感染症が病態の主因であるかどうかの見極めをする.
②特に高齢者では膿尿など軽度の尿所見は元来存在しやすいが,それだけで尿路感染症が主体となる病態であると即断するのは早計である.肺炎など他の重篤な感染症が実は症状の本態であったということはしばしば経験されることである.軽度の