A.疾患・病態の概要
1急性中耳炎の定義と概要
●小児急性中耳炎診療ガイドライン(2009年版)では,「急性に発症した中耳の感染症で,耳痛,発熱,耳漏を伴うことがある」と定義し,急性とは発症から48時間以内に受診し,3週間を超えないと規定している.
●急性中耳炎は15歳以下の小児,特に乳幼児に多い.80%以上が小児期に罹患し,40%の幼児が3歳までに3回以上罹患する.また,0歳児で,38℃以上の熱が3日以上続いて小児科を受診した児の約70%が急性中耳炎だった.
2感染経路と原因菌,急性中耳炎の分類
●急性中耳炎は,中耳,主に鼓室の感染症で,上気道の急性炎症(鼻炎,咽頭炎)が耳管経由で鼓室に達することが多い.細菌性が多く,ウイルス性の中耳炎は,5~16%である.
●細菌性では,肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),インフルエンザ桿菌(Haemophilus influenzae)が2大起炎菌で,ペニシリン耐性菌が半数以上を占める.他に,モラキセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)も検出される.
3症状
➊鼻汁,咳,発熱などの上気道炎症状.
➋耳痛(乳・幼児の場合は耳を触る,不機嫌,突然の啼泣):成人の耳痛は小児に比べて比較的軽度だが,航空機に乗るなど気圧の変化を受けると耳痛が激しくなることがある.耳痛を訴えることができるのは,一般に2歳以上である.
➌耳漏:耳漏が起こると,耳痛は軽減する.
➍耳閉感,耳鳴,難聴:幼児の場合,わかりづらい症状である.特に難聴が片側性の場合は気づかない可能性がある.
B.最初の処置
1問診するべきこと
①集団保育を受けている患児は,ペニシリン耐性菌に感染している可能性が高く,重症化しやすい.患児自身が集団保育を受けていなくても,兄弟がその環境にあればペニシリン耐性菌による感染の可能性がある.したがって,兄弟の有無と集団保育の
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