診療支援
治療

小児の診かた
山田至康
(元順天堂大学教授・救急災害医学)

 小児の疾病は種類が多いだけでなく,同一疾病でも症状が多種多様であるため,重症でも初発症状は軽微で見逃されてしまう危険性がある.「何となくおかしい(not doing well)」を評価できる能力と余裕ある診察が求められる.さらに脱水,低体温,低血糖,ケトン血症などを起こしやすいこと,誤飲・誤嚥,頭部打撲が多いことがあげられる.また,容易に呼吸不全やショックをきたしやすく,短時間のうちに心肺機能不全・心肺停止に至ることが多いため,呼吸不全やショックの徴候を早期に評価し適切な対応を行うことが重要となる.初期対応や心肺蘇生法も成人とは異なるため,小児を診療する機会の多い医師にとってPALS(pediatnic advanced life support)などの標準化コース修得は前提条件となる.

 社会的な面からは,保護者は「いつでも,どこでも,小児科医による診療」を受けることが当たり前と考え,安易な受診(いわゆるコンビニ受診)が増え,一定地域の受診件数はその地域の小児人口の約30~40%ときわめて多数である.さらに,その95%が初期救急,5%が二次救急,0.1%以下が三次救急からなり,軽症が大部分であることも小児の特徴である.


A.トリアージ

①救急医療におけるトリアージは,医療行為の中で医療者と患者とのファーストタッチとして重要である.

②看護師による患者の医学的緊急度の評価から治療開始の優先度を決定するものである.看護師が全身状態,バイタルサインを診て,ガイドラインに基づき緊急度を5段階(蘇生,緊急,準緊急,低緊急,非緊急)に評価するものである.

③カナダの「トリアージガイドライン(Canadian Triage Acuity and Scale:CTAS)」がわが国に紹介され,保険診療点数にも反映されたため急速に普及している.CTASを基にした日本独自の「トリアージガイドライン(J

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?