診療支援
治療

CPAOA(SIDSを含む)
cardiopulmonary arrest on arrival
市川光太郎
(北九州市立八幡病院病院長・救命救急センター・小児救急センター)

A.小児ならではのポイント

●当救命救急センターに搬入される全CPAOA(cardiopulmonary arrest on arrival)の中で,小児は最近5年間は2%前後である.1995年代の5年間の5%余りから,乳幼児突然死症候群(sudden infant death syrdrome:SIDS)の減少に伴い,年々減少して小児のCPAOAの頻度は低い.また,小児救急受診者の0.01%の頻度である.

●原因は事故,他殺など外因死とSIDSに代表される内因死と半々であるが,乳幼児期以下(2歳未満が過半数)に多く,心臓死は少なく,呼吸不全死が過半数であり,AEDの適応が低い(目の前で倒れた症例はAED使用が原則).

●小児の場合は心肺停止状態から発見までの時間が長いことが予想され,小児のCPAOAの予後は不良のことが多い.


B.最初の処置

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小児における救命の連鎖を考慮すると,乳幼児期を念頭にした,事故などの予防の実施(SIDS防止キャンペーンで効果証明済み)から始まり,早期発見,bystanderから救急救命士によるBLS(basic life support),そして,PALS(pediatric advanced life support)への連続実施である.すなわち,最初の処置として,気道確保,心マッサージと人工呼吸,AEDの使用,輸液路確保,強心薬の使用などである.

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一方,小児CPA症例の搬入依頼があったら,①蘇生スタッフ招集(小児科医が中心となるべきである),②患者情報の共有,③蘇生用具,蘇生薬の準備,④加温した輸液(生食水),輸液セット,骨髄針の準備,⑤ポータブルX線撮影の依頼,⑥感染標準予防策,などを速やかに救急室で行う.

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また,患者情報は,起きた事象はどのようにして(mechanism),起きている傷病は外傷か何か(injury),バイタルなどの徴候(signs

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