A.小児ならではのポイント
●痙攣の原因として,成人ではみられない熱性痙攣,軽症胃腸炎関連痙攣,良性乳児痙攣が多く,80%前後を占める.
●小児の薬剤投与量は体重1kgあたりで示される.体重が重要.
B.最初の処置(初期治療)
受診時の痙攣存続の有無と意識レベルにより,対応が分かれる(図1図).
1痙攣が続いている場合
①顔色を見て顔色不良なら気道確保,酸素投与し,バイタルサインをチェック.
②血管確保と抗痙攣薬投与.血管確保ができればジアゼパム薬(セルシン®)0.3~0.5mg/kg(最大10mg)を2~3分で静注.5分間で血管確保できなければ,痙攣を止め救命することが最優先するので,わが国の用法・用量にはないが,諸外国の経験から,ミダゾラム薬(ドルミカム®)0.5mg/kg(最大10mg)筋注(Chamberlain JM,Pediatr Emerg Care 13:92,1997)またはジアゼパム薬2mLを生食水8mLで希釈し0.5mg/kg(最大10mg)注腸(Knudsen FU,Arch Dis Child 54:855,1979)(図1図).ミダゾラム薬は鼻腔・口腔内投与より筋注が確実で効果も早い(3~5分).
③これで痙攣を抑制できなければ二次治療に進む(B-3および図2図).
④発作が抑制された場合は,診察のうえ覚醒するまで観察し,推定原因と全身状態により,帰宅か観察入院かを判断する.
2痙攣が止まっている場合
1意識レベル良好 意識状態が家族から見て普段と変わらない,質問に答える,元気に泣いている,すやすや寝ている,などであれば意識障害はないと判断し,バイタルサインをチェックし,簡単な診察をして問題なければ帰宅,問題あれば観察または気になる点を検査で確認し帰宅とする.
2意識レベル不良 意識状態がいつもと違う,質問や声かけに反応不良,つねっても逃避しない・泣かないなどの時は,
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