A.小児ならではのポイント
●クループ症候群の主要症状は吸気性喘鳴であり,その本態はウイルス感染による声門下の気道狭窄と考えられている.小児では喉頭腔が狭小であり,また声門下腔の粘膜下組織が粗で,血管やリンパ管が豊富なために感染により浮腫が増強し,呼吸障害をきたしやすい.クループ症候群は仮性クループ,喉頭気管炎とほぼ同義である.
●クループ症候群の特徴は嗄声,吸気性喘鳴,犬吠様咳嗽(barking cough)であり,診断は比較的容易である.特有の咳嗽はオットセイの鳴き声(seal's bark),金属性咳嗽(brassy barking)と表現されることもある.発熱は軽度のことが多く,平熱のこともある.好発年齢は生後6か月から3歳で,男女比は1.4:1で男児に多いとされている.生後6か月未満のクループ症候群はまれであり,吸気性喘鳴を認めた場合は先天性喘鳴や血管輪など先天的な異常を疑う.
●原因