診療支援
治療

異物誤飲
foreign body ingestion
村田祐二
(仙台市立病院・救命救急部副部長)

A.小児ならではのポイント

●生後5~6か月以降,乳児は活発に動き手に取ったものは口に入れる.このころから誤飲事故は発生し,3歳までが好発年齢で,年齢の高い精神発達遅滞者でもみられる.誤飲した現場を見ていないことが多く,「さっきまで手にとっていたものが見当たらない」などの訴えが多い.不確実な訴えもあるが,固形異物の誤飲が否定できない時,急性中毒を起こしうる可溶性異物の場合は受診を指示する.

●誤飲物がわかっている場合は,その一部や容器,付属の説明書などがあれば持参させる.

●家庭での催吐は現実的には難しく,誤嚥の危険性があるため,適応は医薬品など緊急度の高いものに限定される.その時は,体位(頭を低くうつ伏せに抱き誤嚥を予防する)や方法(舌の付け根を指で押す)を電話で指導する必要がある.催吐は異物の性状によっては危険を伴うことにも留意する必要がある.特に,鋭的異物,酸,アルカリの誤飲,灯油など揮発したガスにより化学性肺炎を起こすもの,意識レベルが低下している時や呼吸状態の悪い時は禁忌である.

●子どもの様子がいつもと違う,苦しそう,グッタリしているなどの時は,高次医療機関を救急受診させる.

●灯油など揮発性ガスを発生するものの誤飲では,衣服が異物で汚れていたら着替えさせ,直後に無症状でも数時間後に悪化することがあるので,必ず医療機関を受診させる.

●子どもの状態が落ち着いているときは,日本中毒情報センター注1)の情報を紹介してもよい.

 注1)ホームページアドレス:http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf

 (TEL)大阪:072-727-2499,

     つくば:029-852-9999


B.最初の処置

1ABCDEアプローチ

 小児の異物誤飲はほとんど軽症であるが,安易な判断は禁物である.

①まず,気道・呼吸状態を最初に確認する.バイタルサインが安定し

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