診療支援
治療

歯科・口腔外科救急
surgical emergencies of dental and oral cavity
古郷幹彦
(大阪大学大学院教授・口腔外科学)

A.診療のポイント

●口腔内の疼痛は歯が原因のことが多いので,原因となる歯の存在を確認する.

●炎症性の腫脹があるときは,嚥下障害の有無に注意.腫脹によって舌を挙上したり,咽頭を圧迫するときは気道閉塞を起こす可能性を考える.

●打撲後の咬合の異常は顎骨の骨折を疑う.顎関節部の骨折は見落としやすいので注意する.下顎の運動の異常が認められることが多い.

●歯牙の脱臼は,清潔に湿潤状態で保たれていれば整復固定により生着することが多い.

●抜歯後の出血は骨から直接出血していることが多い.持続的出血は思いのほか出血量が多いことがあるので,いつから出血があったかなど注意を要する.

●歯科治療の事故などで異物片が口腔底や顎下部に迷入した場合は異物の場所の特定を急ぐ.


B.最初の処置

①激痛で救急を受診する場合は,急性の歯髄炎のことが多い.歯科医師であれば歯髄の開放で疼痛は改善するが,医師の対応であれば鎮痛薬処方で対応す

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