A.病態
●脊椎損傷は単独では重篤となることは少ないが,その不安定性から脊髄損傷,特にその半数近くを占める頸髄損傷を合併すると機能障害や生命予後に大きな影響を与える.
●脊椎損傷は約45%が頸椎,40%が胸椎,15%が腰椎・仙骨に発生する.
●呼吸運動は,主に第3~5頸髄(C3~C5)から出る横隔神経に支配される横隔膜と,各胸髄から出る肋間神経に支配される肋間筋により行われる.すなわち上位頸髄の損傷ではそのどちらもが障害され自発呼吸は停止し,下位頸髄~上位胸髄の損傷では肋間筋が障害され横隔膜のみの呼吸(=腹式呼吸)となる.
●心臓は第1~4胸髄(Th1~Th4)から出る交感神経と脳神経である迷走神経(副交感神経)の二重支配を受けているが,この部位より上位の脊髄損傷では交感神経の支配が断たれ副交感神経優位となり徐脈になる.また末梢血管は第1胸髄~第2腰髄(Th1~L2)の側柱から出る交感神経の支配に