診療支援
治療

刺創
stab wound
奈良 理
(手稲溪仁会病院救急科部長・救命救急センター副センター長)

A.病態

●刺創(stab wound)は銃創(gun shot wound)とともに鋭的外傷に分類され,わが国では包丁(ナイフ)によるものが最も多い.刃物以外の比較的鈍的構造物による刺創を杙創(impalement wound)という.

●鋭的外傷は鈍的外傷(blunt trauma)に対比される用語であるが,欧米では穿通性外傷(penetrating trauma)という用語が用いられる.

●鈍的外傷は損傷が複数部位に及んでいる可能性があり,損傷部位の確定が困難な場合があるが,刺創は損傷部位の確定が比較的容易である.

●刺創による損傷臓器は,成創器の種類(形状や長さなど)や刺入部位,角度や深度に依存し,表在の刺入創から解剖学的に線上に位置する臓器が損傷される.

●刺創の重症度は脈管,実質臓器や管腔臓器の穿通の有無や程度に依存する.

●刺創部位の解剖を熟知することが,診断と治療に直結する.

●成創器が

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