診療支援
治療

手指・足趾の外傷
hand and foot trauma
仲田和正
(西伊豆病院院長)

Ⅰ.手の橈側の解剖と疾患


A.病態

図1を見ながら自分の手を触診してみよう.まず,母指を伸展してみる.手背側から長母指伸筋,短母指伸筋,長母指外転筋と並んでいる.これを長・短・長と覚える.長母指伸筋と短母指伸筋の間の窪みが嗅ぎタバコ入れ(anatomical snuff box)であり舟状骨骨折でここの圧痛と腫脹がみられる.舟状骨骨折は壊死を起こしやすい.

●短母指伸筋と長母指外転筋の二つは橈骨茎状突起の上で一緒になるが,DeQuervain腱鞘炎はここに圧痛があり,母指屈曲,手関節尺屈で痛みは増強する(Finkelstein's test).


B.初期診療,コンサルテーションと治療

1舟状骨骨折

①舟状骨骨折は手関節の正面・側面X線では見逃しが多いので,疑ったら舟状骨撮影を行う.偽関節になることも多いので,整形外科にコンサルトした方がよい.

②舟状骨骨折のギプス固定は母指を固定するが,遠位は母指IP関節までの固定が必要である.転位が大きい時は螺子(Herbert screwなど)固定を行うこともある.

2DeQuervain腱鞘炎

 DeQuervain腱鞘炎は局所麻酔薬入りステロイド注入などで経過を見て,効果がなければ整形外科に依頼し腱鞘切開を行う.


Ⅱ.手指の解剖と疾患


A.病態

●橈骨遠位端骨折(Colles骨折:図2の1)は橈骨茎状突起から1~2cm近位に圧痛があり,尺骨茎状突起骨折(2)を伴うことが多い.この2個所の圧痛を確認する.

●また尺骨茎状突起付近の圧痛の原因として,TFCC(triangular fibrocartilage complex)といわれる軟骨円板の損傷のこともある.背側の尺骨茎状突起上の圧痛では尺側手根伸筋腱炎(ECU tendinitis)のことがある.

●舟状骨とその隣の月状骨の間はガングリオンの好発部(4)である.さらに遠位の母指CMC(carpomet

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