診療支援
治療

トキシドローム
toxidrome
半井悦朗
(順天堂大学医学部附属順天堂病院・救急科)
射場敏明
(順天堂大学医学部附属順天堂病院・救急科科長・教授)

 トキシドローム(toxidrome)とは,toxic(毒物の)syndrome(症候群)の意味であり,ある特定の毒物群が呈する症状や徴候のことである.

 原因不明の症候(意識障害,瞳孔異常,痙攣,高体温,不整脈,高血圧,低血圧,酸塩基異常など)を認めた場合には,中毒も疑わなければならない.

 毒物の種類や数は非常に多く,その症候は多岐にわたるが,作用機序の類似した毒物群(toxins)は,類似した症状・徴候群(syndrome)を呈する.

 固有の原因毒物が確定されていなくても,トキシドロームにより特定の毒物群を推定し,治療を開始する必要がある.大部分の中毒では支持療法が中心となるが,特異的解毒剤が存在する場合には投与する

 トキシドロームとしては,まず救命処置とも直結するバイタルサインである「意識」 「呼吸数」 「血圧」 「心拍数(12誘導心電図)」 「体温」は必須項目である.さらに様々な中毒

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