A.疾患・状態の概要
1定義
意図されずに深部(中心部)体温が35℃以下になった病態.
2分類
深部体温による重症度分類は一定していない.軽症・中等症・重症の3段階が多いが,軽中等症・重症の2段階もある.境界温度も,軽症と中等症で34℃,33℃,32℃,中等症と重症で30℃,28℃と様々である.おおむね軽症と中等症の境界は32~34℃,中等症と重症の境界は28~30℃といえる.
3病態
体温低下に応じ,臓器系の機能低下がみられる.
1中枢神経系
①軽症:軽い意識障害,腱反射亢進,感情鈍麻,運動失調,構音障害.
②中等症:意識障害,腱反射低下,無関心,錯乱・幻覚.
③重症:昏睡,腱反射消失,瞳孔散大,平坦脳波.
2呼吸系 軽症で,頻呼吸.中等症で,徐呼吸.重症で,呼吸停止.
3循環系
①軽症:頻脈,高血圧.
②中等症:心拍数軽度低下.洞房結節機能・刺激伝導系異常によりPQ・QR・QTSの延長,T波逆転,種々の不整