A.適応,合併症
1適応
心嚢穿刺は,心タンポナーデに対する心嚢内貯留液の排除による救命処置や,貯留液の性状診断などの目的で行われる.貯留液の原因として,心筋梗塞に続発する心破裂,Stanford A型の急性大動脈解離,心外傷(心刺創,心挫傷),心外膜炎,悪性腫瘍などがある.Stanford A型の急性大動脈解離の場合は緊急手術を要する.圧上昇の程度は液貯留の量や速度に左右され,急激な場合は200mL程度でBeckの3徴(血圧低下,静脈圧上昇,心音微弱)や奇脈などが出現する.心嚢内貯留液が徐々に増す遅発性の場合は,症状も緩徐である.液貯留の診断は,心エコー検査でのecho free spaceである(図1図).
心嚢切開は,種々の原因で心嚢穿刺が困難な場合や無効の場合に行われ,特に心嚢内への急速な大量出血では,凝血塊により穿刺排液では困難なことが多い.
2合併症,ピットフォール
骨盤骨折などを