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治療

皮膚・粘膜消毒法
disinfection
水島靖明
(大阪府立泉州救命救急センター・副所長)

 消毒(disinfection)とは,人体に対して有害な微生物の感染性を物理的・化学的手段を用いてなくすか,細菌量を少なくすることと定義される.したがって皮膚・粘膜消毒により細菌数を減少させることはできるが,無菌とすることはできない.そのため消毒の目的としては,皮膚,粘膜に存在する細菌を可能な限り減少させ,手術,侵襲的処置などに伴う感染などを防止することにある.


A.適応,合併症,ピットフォール

1適応

①手術,処置部位(術野)などの皮膚,創部,粘膜では手術時と粘膜に感染を起こしている場合などに適応となる.

②現在,わが国で使用されている主な消毒薬を,表1に示す.消毒薬には,生体に適するものと,主に医療器具などの消毒に適するもの,その両方に使用するものに分けられる.

③消毒効果の3要素としては,作用時間,作用濃度,作用温度が重要であるが,薬液の濃度を増加させれば効果は高まるが,毒性も高まる.使用部位,用途に応じて決められた濃度で使用すべきである(表2).

2合併症

 消毒薬においても,通常の薬剤と同様使用禁忌がある.ポビドンヨード(イソジン®)では,ヨウ素に対して過敏症のある患者では禁忌である.また,グルコン酸クロルヘキシジン(ヒビテン®,マスキン®)は,腟,膀胱,口腔,鼻腔粘膜への適用によりショック症状の発現や鼓膜穿孔の報告がされており,粘膜使用は禁忌とされる.どちらも0.1%未満の頻度ではあるが,ショックが現われることがある.ポビドンヨードは液体の状態では長時間皮膚に接していると,皮膚毒性があり,接触性皮膚炎や皮膚変色を起こすことがある.また,広範位な熱傷などでは,ポビドンヨード液や10%ポビドンヨード(イソジン®)ゲルを繰り返し使用することで,血中ヨウ素値が上昇することがあり,注意が必要である.

3ピットフォール

①ポビドンヨード(イソジン®)では抗菌力を十分発揮するには塗布後2

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