血液型判定・交差適合試験は,緊急の輸血が必要な時に有害事象の予防を目的に行う.輸血用血液は限られた重要な医療資源であり,常に眼前の病態に対して緊急の輸血が必要であるか考えなければならない.緊急輸血時には輸血はもちろんのこと,止血についても常に考える.止血しないで輸血だけ行うのは本末転倒である.
緊急輸血時には異型輸血に注意する.異型輸血をしないために,血液型検査ではオモテ試験,ウラ試験,そして献血者血液との交差適合検査がある.
A.輸血までの流れ
①患者の病態から輸血を施行すべきかを決定する.
②根本治療は何かを考え,その処置を速やかにする.もし自施設でできないような処置があれば転送の判断を早くする.
③輸血同意書の取得.
④各施設の緊急輸血システムに沿って進める.〔ABO式血液型判定検査(オモテ検査,ウラ検査),Rh式血液型判定,不規則抗体検査〕
⑤輸血技師と医師,看護師と医師との血液製剤照合と患者確認にて輸血を開始する.
⑥輸血後,患者の状態の変化や副作用に気をつけて観察する.
・超緊急輸血:ABO式血液型検査やRh型血液検査を行う時間がなく数分で輸血したい場合は,O型赤血球濃厚液輸血を施行する.しかし,血液型検査は輸血開始後でも必ず施行する.
・緊急輸血:ABO式血液型判定は数分で完了するが,交差適合試験は15分程度かかり,その前に輸血しなければいけない場合は非交差血液の輸血とする.しかし,必ず交差適合検査は後追い検査として施行しなければならない.
B.輸血前検査
1ABO式血液型判定
1オモテ検査(ガラス板法) ABO式血液型検査ウラ試験やRh式血液型検査や交差適合検査は臨床検査技師だけが行っている施設が多いが,ABO式血液型検査は医師も施行しなければならないので,必ず身につけておく.基本事項として,以下の通りである.
・A型血球⇒A型抗原を保有
・A型血清⇒抗B抗体を保有
・B型血球⇒B型抗