Ⅰ.X線CT
A.救急領域におけるCTの位置づけ
救急診療では正確さだけでなく,状況に応じた診断治療のスピード感が重要である.緊急度と重症度に見合った診断治療を進める.放射線科医を介する間もなく診断治療を進めることもあり,治療エリアに近いところでvolume DATAを診断できる環境を準備する.
B.CTを用いた治療
CT透視やCTアンギオ装置といったモダリティも集中治療領域で利用される.
1CT透視
膵膿瘍や腸腰筋膿瘍を始めとする深部膿瘍穿刺などでリアルタイムに断面像を表示するCT透視が利用できる.CTのガントリー径による穿刺器具の制限,患者および術者の被曝などの制約がある.
2CTアンギオ装置
CTとアンギオ装置を組み合わせたもので,テーブルのスライドや,CTガントリー移動機構を用いて,同じ寝台上でCTと血管撮影を実施する.本来は腫瘍の栄養血管同定に用いられるが,深部の穿刺・ドレナージをCTで確認しながら安全に実施する際にも有用である.
3コーンビームCT
デジタル血管造影装置のCアーム単体でCT画像を得ることを指す.空間分解能はCT装置に遜色ないが,散乱線の影響で濃度分解能が劣る.またアームの回転に5~20秒を要するため動きに弱い(図1図).
C.CTを用いた機能的診断
造影CTの一種であるperfusion CT,xenon CT,さらに2管球または管圧を変化させながら撮影するdual Source CT,dual energy CTが出現し,CTは解剖学的診断から機能的診断へと発展しつつある.脳梗塞急性期などで血流障害を評価する.
1xenon CT
吸入装置や解析ソフトを用いて,xenon薬によるCT値増加を画像化する.撮影に1分強を要し,局所的に数十回の撮影を行うため被曝は多い.
2perfusion CT
通常の造影剤のインジェクターとの組み合せで撮影できるため,急性期脳梗