2009年7月の国会で「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律(いわゆる,改正臓器移植法)」1)が成立し,2010年7月17日から本人の臓器提供に関する生前意思が存在しなくても,家族の承諾があれば脳死下臓器提供が可能となった.それに伴い15歳未満の小児からの脳死下臓器提供も可能となり,小児脳死判定,すなわちどのように脳死判定を行うか,どのような施設でどのような資格を有する医師が判定すべきかなどに関して新しい制度や取り決めがなされた.
本項では救急医療施設における法律に基づいた脳死判定の方法についても解説する.
A.法律に則った脳死判定
1法的脳死判定の判定医資格
法的脳死判定は,脳神経外科医,神経内科医,救急医,麻酔・蘇生科・集中治療医,または小児科医であって,それぞれの学会専門医,または学会認定医の資格を持ち,かつ脳死判定に関して豊富な経験を有し,しかも移植にかかわらない医師が2名以上