急性感染症とは
■定義
急性感染症(acute infectious disease)とは,比較的急な経過で発症し,進行する,微生物感染に起因する疾患である.
■患者の訴え方
患者は,発熱,悪寒,全身倦怠感,また各種臓器感染に起因する症状,すなわち咳,痰,咽頭痛,頭痛,腹痛,排尿痛,腰痛,関節痛,四肢の痛み,悪心,下痢などを訴える.
■患者が急性感染症による症状を訴える頻度
急性感染症の種類は多く,流行性がみられる感染症もある.各種の急性感染症のために一般内科外来や救急外来を受診する患者は比較的多く,一般内科外来受診者の30%以上と推定される.
症候から原因疾患へ
■病態の考え方
患者の症状と病歴情報や身体所見から感染症が疑われれば,感染症の起因微生物(ウイルス,一般細菌,結核菌,真菌,リケッチア,原虫,寄生虫など)と感染部位を推定する.
■病態・原因疾患の割合
一般内科外来を受診する患者の急性感染症のなかでは,呼吸器系感染症(上気道炎,気管支炎,肺炎など)と消化器系感染症(急性腸炎など)と尿路感染症(膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎など)が比較的多い.起因微生物はウイルスと細菌が多い.結核もわが国では比較的多いので注意する.また地域により流行する感染症もあり(つつが虫病など),注意する.
主要な急性感染症を起こす各種微生物を図3-371図に示す.
また,感染経路別にみた主要な感染症と起因微生物を表3-419図に示す.
診断の進め方
■診断の進め方のポイント
●患者から症状や経過をよく聴いて,よく診察することが臨床医にとって基本的に大切なことである.医療面接と身体診察を忠実に実践して得られた情報をもとにして,患者の感染症の診断と起因微生物を推定することがかなりの程度可能である.さらに,大切なことは,日々の対話と診療を通して患者とまた患者の家族とよいコミュニケーションをもつこと,そしてよき信頼関係を
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