現病歴:トラック運転手.最近1週間ほど,トイレが近くなったことを自覚した.もともと高速道路を運転する際は,尿意が生じても3時間おきにトイレ休憩すれば問題なく仕事ができていた.しかし,この1週間は尿意が生じると我慢ができず,急にトイレに行きたくなった.ある日,尿を漏らしてしまった.このため,1時間ごとにトイレに行き排尿するようにしているが,これでは仕事に支障があるため近くの泌尿器科を受診した.排尿には時間はかからないし,スムーズに排尿できる.腹圧をかけて失禁するわけでもない.1日の尿量は特に変化なく,口渇感もない.
既往歴:1年前から両眼の視力低下を自覚していた.特に薬物は服用していない.心理的ストレスも特になし.
身体所見:意識は清明,身長172cm,体重69kg,体温36.2℃,血圧120/72mmHg,脈拍72回/分(整),呼吸数14回/分,呼吸音清明,心音も正常.口腔や眼球の乾燥所見はなし.
診断の進め方
特に見逃してはいけない疾患
・下部尿路疾患
・前立腺疾患
・前立腺肥大
・前立腺癌
・前立腺以外の下部尿路閉塞症
・下部尿路の炎症
・糖尿病
・神経因性膀胱
・心理的要因
頻度の高い疾患
・下部尿路疾患
・前立腺疾患
・前立腺肥大
・前立腺癌
・前立腺以外の下部尿路閉塞症
・下部尿路の炎症
・糖尿病
■この時点で何を考えるか?
医療面接と身体診察を総合して考える点
患者の訴える排尿障害がどういう性質〔症候・病態編「排尿障害」図3-258図参照→〕であるかを医療面接で確認することが非常に重要である.
排尿障害の医療面接のポイントを表4-9図に示す.
尿排出障害とは,スムーズな排尿ができず排尿に努めても時間を要する状態である.程度により,①排尿困難,②残尿感,③尿閉を確認する.排尿困難では,尿意を感じてから実際排尿が開始されるまで時間がかかる遷延性排尿と,排尿をし始めてからダラダラ長く