診療支援
診断

第4版の序

 もう23年前になってしまったが,本書初版の序に,かつて疾病の病態生理学を学んできた医学生の私が臨床実習でいざ患者さんに接したときに,学習してきたはずの知識をうまく活用できない“もどかしさ”を感じ,なんと当時の内科教授に「教育のしかたがどこかおかしいのではないですか?」と訴えたというエピソードを記載した.

 その“もどかしさ”の原因として,「たとえ疾病に関してどのような症候が起こりうるのかを知っていても,個別の症候の原因としてさまざまな疾病を頻度などとともに思い浮かべられるとは限らないこと」「多くの医学部・医科大学で圧倒的な授業時間を費やしている生物医学的アプローチは臨床医にとって必要な知識の一部分にすぎないこと」の2点を挙げ,少しでもそれらが軽減されるよう本書『内科診断学』の構成に工夫を凝らしてきた.その結果,「Ⅰ. 診断の考え方」「Ⅱ. 診察の進め方」「Ⅲ. 症候・病態編」「Ⅳ. 症例編」という4部構成となり,各症候についての詳細な説明,疾患の頻度と臨床的重要度の図の作成,医療面接や身体診察,検査所見の確定診断への寄与などに配慮した内容となった.

 第3版の出版から7年経ち,ここに第4版を出版できることとなった.今回は,松村正巳先生に新たに加わっていただき,奈良信雄先生ともども,3名の編集体制で改訂作業にあたり,内容をよりいっそう充実すべく,以下のような変更を行った.

 「Ⅲ. 症候・病態編」の掲載項目を8項目(「抑うつ・不安」「せん妄」「鼻漏・鼻閉」「嗅覚障害」「味覚障害」「肛門・会陰部痛」「もの忘れ」「終末期の諸症状」)増やし,109項目とした.「Ⅳ. 症例編」の掲載症例数を,前版の26症例から大幅(81症例)に増やして107症例とした.なお,これら107症例中27症例は書籍に掲載し,残り80症例は付録の電子版で閲覧可能とした.前版同様,本版でも,書籍に付与されたシリアル

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?