診療支援
診断

診断の意義
福井 次矢
(東京医科大学茨城医療センター 病院長/京都大学 名誉教授)

医療における診断の意義

診断は知的分類作業(カテゴリゼーション)

 われわれ医師に課せられた最大の使命は,目の前の患者の命を救い苦痛を取り除くこと(治療)と,予見される病的状態の発現を妨げること(予防)にある.

 そのためには,第一に,患者が現にどのような病的状態にあるのか,またはどのような病的状態に向かいつつあるのかを知る必要がある.そうすることで初めて,病的状態ごとに有効性が証明されている治療方法や予防方法(マネージメント)を選択することができる.つまり,医療における診断とは,どのように患者をマネージメントしたらよいかを知るための病的状態の知的分類作業(カテゴリゼーション)と言い換えることができる.

 診断名ごとに選択されるマネージメントは,病的状態の自然歴を変える(持続期間の短縮化,自覚症状の緩和・軽症化,治癒など)ものでなくてはならない.そうでなければ,診断に必要な面接や身体診察,検査に伴

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