医療面接が終われば,ただちに身体の診察に移る.もっとも,患者が診察室に入室してきた時点から,患者の表情,歩行,動作など一挙手一投足に目を配り,観察を始める.また,医療面接で病歴情報を聴取する合間にも,顔貌,表情,精神状態,言語障害の有無などについて注意を払う.
身体診察の進め方
身体診察(physical examination)は,患者の病態を把握するうえで最も基本的な行為である.全身をくまなく観察し,見落としをしないよう,系統だてて一定の順序で行う.
通常は,まずバイタルサインと全身状態を観察し,次いで頭頸部から観察を始め,胸部,腹部,四肢,そして神経系の診察へと順次進める(図1)図.ただし,患者が腹痛などを強く訴えているような場合には,まず問題となっている腹部から診察を開始してもよい.こうした場合でも,見落としがないよう,他の部位の診察を怠らないようにする.
異常が観察されるという陽