検査計画の立て方
医療面接における詳細な病歴情報の聴取,そして入念な身体診察により,多くの病態は把握でき,“仮の診断”をつけることができる.しかし,より正確に,しかも客観的な情報を得るためには検査を行う必要のあることが少なくない.
検査のなかには,尿・血液検査,胸部X線検査,心電図検査のように,身体診察の一部と考えてもよいごく基本的な検査もある.たとえば,基本検査には,表1図,表2図に示すようなものがある.これらは患者の病態に応じて,適宜選択し,診断の参考にする.
医療面接,身体診察,そして基本検査を加えて,仮の診断がつけられる.そのうえで,各臓器別の機能をチェックし,仮の診断を確実にするために,スクリーニング検査を追加し,診断をつける.さらに,その診断の確定,疾患の病因や重症度の判定,合併症の発見や誤診の防止のために,精密検査,特殊検査を行う(図1)図.
また,診断がついたのち,経過の追跡,治療効果の判定,あるいは治療による有害事象の発現をモニタリングしたり,合併症の出現をチェックする目的にも,適宜検査を行っていく.
このように,検査は疾患の診断,病態の把握,予後を推測するうえで,きわめて有用な役割を果たす.しかし同時に,検査には,患者に精神的,肉体的,あるいは経済的な負担をかける場合があることを十分に認識しておくことも必要である.
検査計画を立てるにあたっては,患者への負担がなるべく少なく,効率よく実施でき,かつ結果を診療に有効に活用することを忘れてはならない.「検査を行えば見落としがないだろう」といった安易な考えに基づき,必要もない検査を過剰に行うことは厳に戒めるべきである.
検査を実行し,結果を活用するためには,以下のような検査の特性を十分に理解しておく必要がある.
検査の種類
検査は,実施する内容,目的,時機によって,次のように分類することができる.
検査の内容による