黄疸とは
定義
黄疸とは,血中ビリルビンが増加し,眼球結膜,皮膚,粘膜,その他の組織が黄染した状態をいう.健常者の血清ビリルビン濃度は1.0mg/dL以下であるが,2.0mg/dLを超えると肉眼的に黄疸が認められる.黄疸はビリルビンの産生,代謝,排泄のいずれかの障害により生じる.
患者の訴え方
患者自身が黄疸に気づくよりは,むしろ他人から「白目が黄色い」「顔色が黄色っぽい」と言われて受診することが多い.
自分で気づく場合は,黄色調の白目や皮膚と同時に褐色尿を訴える.患者によっては大便の色の変化(灰白色便)を主訴にする.皮膚の痒みを訴える場合もあり,黄疸の重要な徴候の1つである.腹痛,貧血を訴えて来院し,発見される場合もある.
手掌のみが黄色調を呈すると受診する多くの患者は,黄色野菜,果物の過剰摂取によるカロチンの沈着をきたしているものであり,黄疸ではない.
黄疸患者の受診理由を表1図に示した.
患者が黄疸を訴える頻度
自分自身が黄疸に気づいて受診する患者または周囲の人に指摘されて受診する患者は,一般外来での頻度はそれほど高くはない.大学病院の総合外来でも1%以下との報告がある.他の主訴で受診し,医師が身体診察を行って黄疸を見出す頻度のほうが高い.
症候から原因疾患へ
病態の考え方
ビリルビンには,間接(非抱合型)ビリルビンと,直接(抱合型)ビリルビンがある.おのおののビリルビンの上昇機序により病態が異なる.その概略を機序別に図1図に示す.
間接ビリルビン優位の黄疸
①間接ビリルビンの過剰産生
先天性・後天性溶血性貧血が主因であり,血管外・血管内溶血性貧血がある.骨髄内無効造血によって赤芽球の発育が障害されると溶血が起こり,その結果,間接ビリルビンが増加するものをシャントビリルビン血症という.
②間接ビリルビンの肝細胞摂取障害
肝細胞によるビリルビン摂取障害である.肝硬変でのシャント形成が主