咽頭痛とは
定義
咽頭痛とは,のどのヒリヒリとする痛みを指す.英語ではsore throatと表現するが,soreは「ヒリヒリする」という意味がある.また日本語では「咽頭」痛と記載するが,英語ではthroatであり,咽頭に限らず広く「のど」の痛みを示すことが一般的である.
咽頭は解剖学的に上・中・下咽頭に分類され,知覚神経は舌咽神経である.また,喉頭の知覚神経は迷走神経の分枝である上喉頭神経である.咽頭や喉頭の炎症はこれら2つの神経の痛みであることが多い.
さらに,虚血性心疾患や頸動脈・椎骨動脈解離では関連痛(放散痛)として咽頭痛が生じることがある.
患者の訴え方
患者は,「のどが痛い」「のどがヒリヒリする」「のどがイガイガする」などと訴える.また強い痛みなどがあるときは,「(のどが痛くて)物を飲み込むのがつらい」と訴えることがある.
患者が咽頭痛を訴える頻度
咽頭痛を主訴にプライマリケア診療所を受診する患者は多く,4.6~7.2%程度と報告されている.また,咽頭痛を生じることが多い急性上気道炎関連でプライマリケア診療所を受診する患者は15~32%程度と全疾患中で最も多い.
症候から原因疾患へ
病態の考え方
患者が咽頭痛を訴える場合,まずは経過別に考える(図1)図.
突然発症であれば,外傷や異物,また虚血性心疾患や頸動脈・椎骨動脈解離,くも膜下出血などの脳・血管疾患が考えられる.
急性の経過であれば,咽頭や喉頭の感染症や亜急性甲状腺炎などの炎症性疾患が考えられる.
慢性の経過であれば,咽頭や喉頭の悪性腫瘍,胃食道逆流症,心因性などが考えられる.
原因疾患として主なものを表1図に示す.
病態・原因疾患の割合
急性上気道炎や急性咽頭炎が原因の大多数を占める.急性上気道炎の原因はほぼ100%ウイルスである.急性咽頭炎の原因は90%程度がウイルスであり,10%程度がA群β溶血性連鎖球菌である.
関連リンク
- 内科診断学 第4版/咽頭痛
- 治療薬マニュアル2024/コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組換えサルアデノウイルスベクター)《バキスゼブリア》
- 治療薬マニュアル2024/コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組換えアデノウイルスベクター)《ジェコビデン》
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/2 急性喉頭蓋炎
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/丹毒
- 今日の救急治療指針 第2版/かぜ症候群
- 新臨床内科学 第10版/炎症,感染症
- 今日の整形外科治療指針 第8版/急性頚部椎間板石灰化症
- 今日の診断指針 第8版/リンパ節腫大(2)感染症を中心に
- 今日の診断指針 第8版/流行性耳下腺炎
- 今日の診断指針 第8版/口蓋扁桃炎
- 今日の小児治療指針 第17版/無菌性髄膜炎症候群