診療支援
診断

いびき
snore
小松 雅宙
(信州大学医学部内科学第一教室)
花岡 正幸
(信州大学医学部附属病院 病院長/信州大学医学部内科学第一教室 教授)

いびきとは

定義

 いびきとは,昼夜を問わず,睡眠中に呼吸気が上気道の狭窄部位を通過する際に起きる気流障害に伴い,咽頭や喉頭の構造物あるいは分泌物が振動して生じる,異常な呼吸音である.通常,吸気に発生するが,呼気時に生じることもある.いびきの発生において,睡眠,気流障害,振動する構造物が重要なファクターである.

 いびきは,閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea; OSA)に随伴する主要な症状である.一方最近では,いびきと単純性いびきを分けて使用することが多い.単純性いびきは,睡眠時無呼吸,低呼吸,気道の狭窄によって起こる呼吸努力に関連する覚醒や低換気などの病的状態とは異なり,いびきによる日中の眠気や疲労などの症状を伴わず,客観的な呼吸停止を伴っていないと考えられている.

 Lugaresi(ルーガレシー)が提唱したいびきの程度分類を表1に示す.程度がひどくなると心肺疾患を合併する.

患者の訴え方

 睡眠中に生じるため,本人が自覚している頻度は約23.3%と少ない.いびきとともに出現する呼吸停止を家人やベッドパートナーが心配して来院することが多い.

 本人の訴えとしては,日中の居眠り,注意散漫,作業効率の低下,睡眠障害(睡眠不足,日中の傾眠傾向),頭痛が多い.

患者がいびきを訴える頻度

 いびきの発生頻度について,さまざまな報告がなされているが,一過性にいびきを生じることもあるため,正確な頻度は不明である.米国のコホート研究では,男性の44%,女性の28%にいびきを認めたと報告されている.わが国では,35〜79歳の成人を対象にした研究において,男性の24%,女性の10%にいびきを認めたと報告されている.いびきの頻度は,男女とも年齢とともに高くなるとされる.

 いびきが代表的な症状である睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome; SAS)の頻度は

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