乳房のしこりとは
定義
乳房の“しこり(lump)”は患者の訴えである.診断する側から触診で得られた所見を表す用語としては,硬結(induration)あるいは腫瘤(nodule/tumor)を用いる.前者は,限局しているが境界が明らかでない硬い変化に対して用い,後者は,輪郭を追ってその長径とその垂直の径を計測して数値で表せるものに対して用い,両者を区別して用いるべきである.
患者の訴え方
患者は「乳房にしこりがある」と訴える.痛みを伴わないことがほとんどであるが,気がついてから,よく触れるために痛みや圧痛を訴えることもある.そのような症状の変化とともに,触れたしこりの大きさの変化を確認しておくことが重要である.
患者が乳房のしこりを訴える頻度
乳腺外来を受診する初診患者の症状は,乳房のしこりと乳房痛がほとんどである(図1)図.検診や人間ドックにより精査を指示された無症状の患者や,他院で乳癌の手