診療支援
診断

呼吸困難
dyspnea
皿谷 健
(杏林大学大学院医学研究科臨床教授・呼吸器内科学)

呼吸困難とは

定義

 経験的に会得される主観的呼吸不快感であり,質も程度も異なる感覚から成り立つ,と定義されている.

 呼吸困難は異常な呼吸感覚であり,その病態生理は不明な部分が多い.呼吸筋,傍血管レセプター(間質液を感知),化学レセプター(二酸化炭素の上昇や酸素の低下を感知)の求心性入力の関与がいわれている.

患者の訴え方

 feeling of suffocation(窒息感)やair hunger(息が吸えてない感じ)は慢性閉塞性肺疾患(COPD)やうっ血性心不全ではしばしば経験する一方で,間質性肺炎では乏しい傾向にある.

症候から原因疾患へ

病態の考え方

 発症のタイミング(臨床経過)からの推測,VINDICATE(vascular,inflammatory and infectious,neoplastic,degenerative,iatrogenic and intoxication,congenital,allergic and autoimmune,traumatic,endocrine)に基づいた原因病態からのアプローチおよび解剖学的アプローチを推奨したい.

発症のタイミング

 呼吸困難の発症のタイミング(臨床経過)から,突然(seconds to minutes),急性(hours to days),慢性(months to years)に分類する.発症のスピードは鑑別診断を絞る効率的なアプローチである(表1)

VINDICATEによる分類

 呼吸困難や頻呼吸は,酸素摂取や酸素吸収の低下,肺血流の低下,末梢組織への酸素輸送の低下,組織の酸素需要の上昇,二酸化炭素やその他の代謝物の排泄低下などから生じる.VINDICATEによる分類が診断に役立つ(表2)

酸素摂取の低下:喉頭炎,気管内異物,大動脈瘤や縦隔腫瘍による気管や気管支の圧排,気管支喘息,急性気管支炎,肺気腫など

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