喘鳴とは
定義
喘鳴は高調かつ連続性の笛音であり,向かい合う気道壁の振動で生じるとされる.連続性雑音であるwheezesとrhonchi(いびき様音)の発生機序は同じとされ,太く柔らかい気道は200~250Hzの低音に(rhonchi),細く硬い気道は400Hz以上の高音(wheezes)となる.
①その他の把握しておきたいwheezes
●squawk(スクオーク):吸気の中期から後半にかけて聴取される末梢気道の開放音であり,short wheezesとも呼ばれる.気管支拡張症や間質性肺炎でしばしば聴取される.
●stridor:通常は吸気時の喘鳴を指す.胸郭外の気道閉塞の場合は吸気時に,胸郭内の気道閉塞では主に呼気時(または吸呼気時)に喉頭部で聴取する.
患者の訴え方,患者が喘鳴を訴える頻度
喘鳴は「ヒューヒュー,ゼイゼイする」という訴えで来院することが多いが,その原因は多岐に及ぶ.日常診療で多いのは気管支喘息発作,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪,慢性気管支炎,気管支拡張症,心臓喘息,気管や気管支の圧排を呈する疾患(気管支内異物,縦隔リンパ節腫大,肺癌,大量胸水)である.
症候から原因疾患へ
病態の考え方
喘鳴の原因は以下の解剖学的部位により異なることを念頭におく.
①larynx(喉頭):喉頭炎は吸気時の閉塞や喘鳴を生じる.特に喉頭蓋炎で吸気時の喘鳴として認識される.
②trachea(気管):気管気管支炎や気管内異物が原因となる.
③bronchi(気管支):気管支炎,細気管支炎,気管支喘息で生じる.また肺気腫,塵肺,珪肺,肺癌なども考慮する.
④alveoli(肺胞):心臓喘息(肺水腫),心不全が原因となる.
喘鳴の症状のみで受診する症例は少なく,多くは呼吸困難や咳嗽を伴っている.
病態・原因疾患の割合
(図1)図