診療支援
診断

浮腫
edema
大澤 勲
(医療法人埼友会埼友草加病院 院長)
富野 康日己
(順天堂大学 名誉教授/医療法人社団松和会 理事長)

浮腫とは

定義

 浮腫とは,細胞外液のうち組織間液が異常に増加し,体表面から腫脹して見える状態を指している.

 特に体腔内における水分の貯留として,胸水や腹水があるが,一般的には皮下浮腫のことを意味する.また,胸腔・腹腔を含めて,全身の組織間隙に及んだ著しい浮腫を全身性浮腫(anasarca)と呼んでいる.

患者の訴え方

 患者は,「顔が腫れぼったい」「靴・指輪がきつくなってきた」「むこうずねを押すとへこんだままになる」「関節が曲げづらい」などと訴える.また,「急激に体重が増えた」といった訴えの場合は,全身性浮腫の可能性が考えられる.

 これらの訴えには,さまざまな表現があるので,浮腫を疑い情報を収集する必要がある.

患者が浮腫を訴える頻度

 浮腫を主訴として来院する患者は,詳細な統計はないが,比較的多く,3〜5%と思われる.また,外来受診者のなかには浮腫を伴っている患者が相当数存在している.

症候から原因疾患へ

病態の考え方

 患者が浮腫を訴える場合,その分布が局所性なのか,全身性であるのかを見分ける.

 局所性の浮腫は,局所の炎症あるいは静脈やリンパ管のうっ滞などが原因となる.炎症性浮腫の場合は,同時にその部位での発赤,熱感,疼痛を伴う.発作的または一過性に出現する限局性浮腫として,血管性浮腫〔Quincke(クインケ)浮腫〕があり,毛細血管透過性の亢進により起こると考えられている.

 全身性の浮腫はその原因により,心性,腎性,肝性,内分泌性,妊娠性,栄養失調(障害)性,薬剤性,特発性などに分けられる.

 これらを引き起こす病態としては図1に示すようなものがあり,その原因疾患として主なものを表1に示す.

病態・原因疾患の割合

 80〜90%が全身性浮腫で,10〜20%が局所性浮腫である.全身性浮腫のなかでは,心性浮腫と腎性浮腫が50%以上を占め,器質性疾患に基づくことが多い.病態・原因疾患の頻度と

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