頻尿とは
定義
排尿回数が異常に多いという自覚的訴えを頻尿という.排尿回数は,強い尿意を知覚する機能性膀胱容量(日本人では約400mL)と1日に産生される総尿量によって規定される.摂取する水分量や不感蒸泄量によって左右されるが,一般的には1日8〜10回以上,就眠時に2回以上の排尿があり,かつ本人が苦痛を感じている場合をいう.
患者の訴え方
患者は,「尿意が頻回で排尿を我慢できない」(尿意切迫),「尿がたくさん出るようになった」(1日尿量の増加=多尿),「夜間排尿のため何回も起きる」(就眠時のみの排尿回数増加=夜間頻尿)などと訴える.
患者が頻尿を訴える頻度
2019年の厚生労働統計協会の国民生活基礎調査によれば,有訴者数37,471,000人のうち,頻尿を訴えた人数は792,000人で2.11%である.
症候から原因疾患へ
病態の考え方
(図1)図
患者が頻尿を訴える場合,多くは泌尿器科領域の疾患であるが,循環器疾患や糖尿病,尿崩症などの内分泌・代謝疾患,脳血管障害,さらには慢性閉塞性肺疾患などが原因となることもある.頻尿をきたすメカニズムは原因により異なるため,正しく診断するためにはそのメカニズムを知ることが重要である.
頻尿の原因疾患として主なものを表1図に示し,以下にそれらの病態を解説する.
膀胱粘膜刺激
異物や結石,腫瘍などの機械的刺激や感染・炎症による膀胱粘膜の刺激のため,機能性膀胱容量が減少し,尿意が切迫して排尿回数が増加する.したがって,1回の尿量は著明に減少する.軽度の膀胱壁の伸展刺激によっても疼痛や不快感として知覚すること,炎症性浮腫による膀胱壁の伸展コンプライアンスが低下することなどによる.
また,慢性閉塞性肺疾患などの呼吸性アシドーシスでは,動脈血 PaCO2上昇を代償するためHCO3-の尿中排泄抑制,Cl-排泄増加により酸性尿となる.尿のpH低下も膀胱刺激となり頻
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