診療支援
診断

乏尿・無尿
oliguria,anuria
井尾 浩章
(順天堂大学医学部附属練馬病院腎・高血圧内科 教授)
富野 康日己
(順天堂大学 名誉教授/医療法人社団松和会 理事長)

乏尿・無尿とは

定義

乏尿

 乏尿は,1日尿量が400mL以下をいう.

 通常,健常者の尿量は500〜2,000mL/日であるが,主として経口的に摂取される水分の量により尿量は変化するため,乏尿の場合,乏尿になりうる原因の存在が考えられる状態や全身状態の変化などを考慮して,判断するべきである.

無尿

 無尿は,1日尿量が100mL以下のときをいう.

患者の訴え方

 患者は,「尿が少ない」「尿が減った」「排尿の回数が少ない」などと訴える.しかし,これらの訴えは乏尿や無尿の定義に該当しない場合が多く,水分摂取が減少した状態での生理的範囲内の場合がほとんどである.

 むしろ,種々の原因でショック状態にある場合や意識障害がある場合に,家族などに「最後の排尿がいつであったか」を確認することが,乏尿・無尿の診断に有用である.

患者が乏尿・無尿を訴える頻度

 Allgrenら〔1997〕の報告によると,504人の急性腎不全患

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