血尿とは
定義
尿に赤血球が混入している状態を血尿といい,顕微鏡的血尿(microscopic hematuria)と肉眼的血尿(macrohematuria)とに分けられる.
①顕微鏡的血尿:新鮮尿10mLを1,500回転5分間遠心し,上澄みを捨てて沈渣成分をスライドガラスにとり,400倍視野で検鏡する.400倍視野で赤血球が1視野5個以上認められる場合をいう.
②肉眼的血尿:尿1Lに血液が1mL以上混入すると肉眼で赤く見える.
試験紙法による尿潜血反応はヘモグロビン(Hb)のペルオキシダーゼ様活性を測定するもので,色原体はヘモグロビンまたはミオグロビンの存在下で過酸化物と反応し,酸化される.その結果,試験紙の色調が黄色から緑色に変化する.
市販の潜血反応試験紙で1+がヘモグロビン濃度0.06mg/dL,赤血球20個/μLに相当する.尿潜血反応試験紙には偽陽性や偽陰性がみられることがあり,尿沈渣赤血球数と試験紙法が一致しない場合には注意が必要である(表1)図.
患者の訴え方
肉眼的血尿では,「尿が赤い」とか「尿の色が濃い」と訴えることが多いが,顕微鏡的血尿では,尿の色調変化に患者自身は気づいておらず,「腰が痛い」「背中が痛い」「尿をする際,痛みがある」「尿をする際,むずむずする」「足がむくむ」「尿の出が悪い」などと訴える.
また,学校検尿や職場の健康診断で尿潜血反応を指摘され,外来を受診することも多い.ほかの疾患で医療機関を受診した際に,偶発的に尿潜血反応や血尿が指摘されることもある.
患者が血尿を訴える頻度
血尿を主訴に受診する患者の頻度に関する統計は少ないが,血尿は内科的疾患や泌尿器科的疾患の重要な徴候である.
日本人の潜血陽性率は,小学校の健診では0.96〜3.11%で経年的な変化はない.成人の人間ドック,健診での潜血陽性率は〔血尿診断ガイドライン編集委員会:血尿診断ガイドラ