今日の診療
診断

運動失調
ataxia
長井 篤
(島根大学医学部内科学第三 教授)
小林 祥泰
(小林病院 理事長)

運動失調とは

定義

 多くの筋が協調して収縮・弛緩することで,運動が滑らかに行われる.これを協調運動という.筋の麻痺などがないにもかかわらず,協調運動が障害されるために運動がうまく行えないことを協調運動障害(incoordination)といい,運動失調は一般に,これと同義として扱われている.

患者の訴え方

 失調の出現する部位によって訴えが異なる.体幹の運動がうまく行えないとき,「ふらつく」「めまいがする」という訴えになり,下肢の失調は「足が出にくい」「思う方向に足が出ない」などの歩行障害の表現となることが多い.上肢の失調は「物を取るとき手がふるえる」など,日常生活上の不便を訴える.口では「ろれつが回らない」という訴えが多い.

患者が運動失調を訴える頻度

 前庭迷路性はめまいを伴い,頻度は高い.脳血管障害の約10%に運動失調がみられる.その他の疾患によるものは稀である.

症候から原因疾患へ

病態の考え方

残り約2600文字

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